MA-TO
高架下の小商い空間

MA-TO

東京都

JR中央線の駅間高架下につくった地域の「小さな経済」のための拠点。小商いのためのシェアスペースとして、ショップ、キッチン、工房などから構成される。
A small economic base for the community created under the elevated railway tracks between stations on the JR Chuo Line. It is a shared space for small businesses, consisting of a store, kitchen, and workshop.

シェアキッチン前のテイクアウトカウンター
高架下の空間が地域を分断しないよう、隙間を空けてボリュームを配置した
シェアキッチン横のフリースペース。カフェのように営業することもできる
シェアキッチン。専門的な機材が用意されている
シェア工房。デジタル工具も用意されている
店舗棟は2棟あり、キッチン対応の棟では飲食店やフードアトリエを想定した設えになっている
店舗の前庭はさまざまに使われている
ボリューム配置で前庭をつくる
使い方マニュアル。小さな空間の寄せ集めであり、ユーザーが多岐に渡るため、設計意図を伝えるために作成
建物の高さを低く抑えた。金属屋根の反射光によって、高架の天井面を明るく照らす。遊歩道が暗くならないようにした

MA-TOは、地域住民のためのコミュニティ施設である。東京西郊の鉄道高架下につくられた。施設といっても定型があるようなハコモノではなく、シェア工房、シェアキッチン、そして、小商い店舗11室からなるユニークな構成の建築である。
といってしまうと簡単だが、設計が始まったとき、諸室構成はおぼろげだった。図面と模型をつくっては打合せに持っていき、皆で話をする。どのようなキッチンであれば、使いたくなるだろうか。集中してお菓子作りしたい人もいるから、開放的過ぎても困るな。でも可能性を狭めるのも良くないから建具を工夫しよう、などなど。そんなことを話し合って、持ち帰ってはまたつくる。その間、建築主側ではきっとシビアな収支検討もしていたと思うが、とにかく、何をつくるかを皆で考える、ということを繰り返して、今のようなカタチに辿り着いた。
注力したことは、配置計画とインターフェースのデザインである。遊歩道という流れの場の中に、自然と佇めるような淀みの場をつくり、さまざまな活動が共存できるよう建具をデザインした。
建物高さを低く抑えたのは、北側の遊歩道に光を届けるためである。建物を低くするために、天井懐は可能な限り小さくし、内外の床段差は無くした。
萌芽的な事例であるがゆえに参照するものも特になかったが、趣味や特技に基づいた小さな経済の場が、地域社会の繋がりをつくるという予感は共有されていた。そのために、歩きたくなるような高架下の環境をつくり、遊歩道の人の流れを建築に取りこむことは、設計上の重要なテーマであった。

用途:物販店舗
発注者:JR中央ラインモール、タウンキッチン
設計者:
 建築 仲建築設計スタジオ
    内藤ハウス 
施工者:内藤ハウス
規模:
 敷地面積 671.25㎡
 建築面積 172.18㎡
 延床面積 172.18㎡
 階数 地上1階
 構造 鉄骨造