林の中の4枚屋根

4 Roofs in Woods

静かな林の中に建つ、仕事場を併設した木造平屋建ての住宅である。家族3人の暮らしを個人の活動の集合ととらえた、職住一体の生活環境の提案である.
It is a wooden house with an attached work space, built in a quiet area of woods. It is a living environment where work and life are integrated for a family of three.

アプローチから見る。流れ方向の異なる屋根が集まる
蚊帳テラスの屋根はめくれあがって隣り合う屋根と切り妻をつくる
4方向に流れる屋根の隙間から光と風景が差し込む
大きな屋根の下に共用空間が広がる。白い箱の中は寝室など個人のスペース
蚊帳テラスまで連続するダイニング
茶道教室としての利用を想定したアトリエと和室
洗面室。高さ約3.5mのアーチ開口を設け、ハイサイドライト越しの自然光を取り込む
蚊帳テラス。網戸ネットを縫製した着脱可能な蚊帳に囲まれる。
流れ方向の異なる4枚の屋根を風車状に組み合わせた
構造ダイアグラム

屋根を支える4つのコアは家族ひとりひとりの活動を支える空間とし、コアとコアの間には他者との関係を育む共用空間が展開する。コアの内部が安定的な光と風景による静的な空間であるのに対し、大屋根の下のリビング・ダイニングは四方や上下に光や視線が抜け、移動と共に風景が切り替わる動的な空間とした。変化に富んだ環境の中にふたつの性質の異なる居場所を用意することで、繰り返される日々の暮らしを豊かなものにすると考えた。それぞれ流れ方向の異なる、片流れの4枚の屋根を風車状に噛み合わせることで、東西南北に向いた4つのズレをつくり、それぞれを玄関、庭、サブアプローチ、アトリエアプローチの4つの外部空間とした。2枚の屋根は、垂木の角度を除々に変化させることで緩やかな3次元曲面としている。それにより、東西の両端で隣接する2枚の屋根がすり寄るように切妻を構成し、庭や車路など地面からの視点に穏やかな表情を与えた。屋根の重なりによって生まれた隙間にはハイサイドライトを設け、光と風と視線の通り道としている。ダイニングやアトリエからは四方に視線が抜け、季節や時間に応じた光や風景を体感することができる。

用途:住宅+アトリエ
発注者:個人
設計者:
 建築 仲建築設計スタジオ
 構造 坪井宏嗣構造設計事務所
 設備 ビーイー・リンク
 照明 Lighting M
施工者:巴組
規模:
 敷地面積 1655.21㎡
 建築面積 262.96㎡
 延床面積 230.29㎡
 階数 地上1階
 構造 木造